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考察 自民党日本国憲法改正草案 改正の発議

2018/ 08/ 15
                 
 朝の散歩途中、遠里小野橋を渡ると小雨がぱらついた。雨脚が和泉山脈を越えたようだ。きょうは終戦の日。

 一般に、憲法第96条改正のポイントは、憲法改正の発議に必要とされる賛成を各議院の総議員の「3分の2以上」から「過半数」にすることであると理解されているが、平成24年4月27日決定の自民党日本国憲法改正草案を読むと、それだけではなさそうだ。

現行憲法
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
② 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

自民党案
第100条 この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議により、両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を得なければならない。この承認には、法律の定めるところにより行われる国民の投票において有効投票の過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、直ちに憲法改正を公布する。


 現行憲法では、発議するのは国会。すなわち衆議院と参議院両方の賛成を得ることができて初めて国会の発議が成立します。

 自民党案は、「衆議院『又は』参議院の議員の発議により」と表現します。ということは、衆議院あるいは参議院の賛成を得ることで国会の発議が成立するのだろうかと考えながら、続く文章を読むと、「両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を得なければならない」となっています。

 頭が混乱しましたが、自民党案の「発議」は従来の発議とは異なる意味で使っているようです。衆議院又は参議院の議員が国会に提案することを「発議」という言葉で表現しました。

 なぜ、議員の提案を発議という重々しい言葉で表現したのでしょうか。

 ともかく「両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で」憲法改正の国民に対する提案が成立したとして、国民の承認に関するする手続きへ進みます。

 自民党案は「この承認には、法律の定めるところにより行われる国民の投票において有効投票の過半数の賛成を必要とする」としています。

 顕著な違いは現行憲法が「その過半数の賛成」としているのに対し、自民党案が「有効投票の過半数の賛成」と条件を緩和していることです。

 現行憲法の下では、為政者が恣意的に「有効」「無効」を判断することなく、すべての投票の過半数の賛成としているのに対して、自民党案は「有効投票の過半数」の賛成としています。改正憲法成立の条件を大幅に緩和しました。

 「賛成」か「反対」を問うだけですから、項目の片方に〇をつけるだけの様式になると思いますが、それでも、何をもって有効投票とするのか疑問です。どちらにも〇をつけずに投票した場合、いわば賛否の判断を留保した場合、どのように扱われるのでしょうか。

 恣意的に無効投票を多く作り出せば、憲法改正が容易であることは疑問の余地がありません。為政者が恣意的に憲法を改正する条件は整いつつあるようです。
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