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「する句」ではなく「成る句」

2018/ 08/ 27
                 
 毎週月曜日は「毎日俳壇」掲載の日。
 本日の掲載句から私が選ぶ秀句は、


 原爆忌畑はぐんぐん水を吸ひ  景山典子

 俳句は、その瞬間を詠むもの。今日は原爆の日。畑に水遣りをしている。畑への水遣りとなれば広島原爆の日かもしれない。早朝からの畑仕事。水遣りをしているその瞬間、今まさに8時15分が迫ってきた。

 精魂込めて世話している甲斐があってか、作物の生育は順調そのもの。ぐんぐん水を吸いながら、ぐんぐん育っている。「ぐんぐん」という副詞の持つ力強さ。大地が水を吸うだけでなく、力強く作物が育っているようすをも連想させる。

 きっと豊かな収穫を得ることができるにちがいない。

 8時15分、黙祷。あの瞬間、原子爆弾という途方もない兵器によって、あらゆるものが一瞬にして消滅させられてしまった。亡くなった人々に思いを馳せる。

 あれから73年。「畑はぐんぐん水を吸ひ」、人々は幾多の試練、悲しみを克服してきた。

 原爆の日の実景だけを詠みながら、過去、現在、未来の景色を幾重にも連想できる句です。人類の不撓不屈の精神を感じることができます。

 大峯あきらが生前に毎日俳壇の選者をしていたころ、いつの新聞だったか印象深いコメントを寄せていました。

 詩作にとっての敵は、知的分別による操作や装飾である。これには意識的なものだけでなく、無意識的なものもある。「する句」でなく「成る句」をすすめた芭蕉は正しい。(大峯あきら)


 原爆忌畑はぐんぐん水を吸ひ  景山典子

 確かに「する句」ではなく「成る句」です。
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